“林 トモアキ” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:林 トモアキ (29 件 / 3 ページ)

レイセンFile3:ワンサイド・ゲームズ

 

“フォース”との接触以来、彼らが属するオートライングループを警戒しながらも、神霊班は次の手が打てずにいた。そんなある日、ヒデオは街でマックルイェーガーという女性に声をかけられる。ごついヘルメットをかぶり、やたら銃器に詳しい彼女に疑問も抱かず、遅れてきたモテ期に浮かれるヒデオ。しかし、彼女はオートラインに協力する“銃の神”であり、彼女の能力を利用した、“実験”が始まろうとしていたのだ―衝撃の急展開。 (「BOOK」データベースより)

個人的お気に入り度数

 自分は、もっとずっと高尚な者たちと戦い、勝ち続けてきた。その中に虐殺を至上とするような、低俗で幼稚な輩など、ただ一人もいなかった。だからあんなのは雑魚だ。あんなのはかつて自分が相対した誰一人の足元にも及ばない。
 “ええそうよ。さあ行きましょうか、二代目聖魔王閣下……!”

 本気のヒデオさんマジかっこいい!!(ただし滅多に発動しない)
 伝手で宮内庁の心霊班に就職した川村ヒデオが繰り広げる『戦闘城砦マスラヲ』後日談シリーズ第3巻。個人的に2巻がイマイチで暫く詰んでたんだけどやっぱり物語が動き始めると面白いなあ。人を殺す事を楽しんでいるという、これまでのマスラヲシリーズにはない下種な敵に対して怒りを燃やす一方、これまで自分が渡り合ってきた相手との相対を通して確かに成長したヒデオがかっこよすぎた。

 まだまだ水面下で色々動き出してる感じで明確な敵が見えてこないんだけど、こちらはこちらで魅力的なキャラが増えてきた感じ。というかナイトさんの今後の活躍には期待せざるをえない。

 ……なんだけど、やっぱり書き下ろしのヒデオが魔殺商会の面々に振り回される『ロケットダイヴ!!』のハチャメチャな面白さがもうヤバくて!!薄幸少女属性返上してすっかり周囲を振り回す、作中でも髄一のフリーダムっぷりを発揮する鈴蘭可愛いわー。偉大で濃ゆい先輩を持つと色々な意味で苦労するよね頑張れヒデオ……

“……あんたをアパートから引っ張り出したウィル子ってマジ神だわ”

 納得の一言すぎて盛大にふきだした。


レイセン File2:アタックフォース

 

街に漂う悪霊を祓う神霊班の仕事(主に雑用・運転手)に慣れ始めたヒデオ。しかしある夜、お祓いに出向いた先で、不可思議な少年少女グループ“フォース”と出会う。なんと彼らは、睡蓮すらも知らないタイプの精霊を操り、悪霊を祓うどころか、捕らえて集めていたのだ!正体も目的も分からない敵の出現で、神霊班は警戒態勢に。そして戦力増強のため、ヒデオに地獄の修行が課せられるのだった―第二の人生、ますます波瀾万丈に。 (「BOOK」データベースより)

個人的お気に入り度数

話自体は普通に面白かったんだけど、書き下ろしの番外編の分量が多すぎて本編があまりにも物足りない。前半の新たな敵「フォース」との顔合わせや修業話が面白かっただけに、肩透かしを食らった気分が否めませんでした。

番外編も面白いことは面白かったんだけど、「レイセン」本編とは雰囲気が違いすぎて…うーん……短編集とかなら、気にならなかったんでしょうけど。本編・番外編で今回大活躍した葉多恵さんは「ミスマルカ興国物語」からの出張キャラらしいですね。

2巻が色々な意味で中途半端なところで終わってるので、3巻でどういう風なところに落としてくるのかが気になります。


レイセン File1:巫女とヒキコと闇少女

 

伝説にまで成り上がった「聖魔杯」から数ヵ月、普通の社会復帰に失敗したヒデオは宮内庁神霊班に就職する。しかしそこでの仕事は、人々の悪意から生まれた悪霊を、人間にとり憑く前に祓うというもの。精霊に知り合いはいても、お祓いのスキルはまったく無しのヒデオはいきなり大ピンチ!先輩にして巫女の睡蓮に厳しくしごかれる日々が始まる。さらに、今度は闇属性のゴスロリ精霊少女に憑かれてしまい―前途多難の第二の人生、開幕。 (「BOOK」データベースより)

個人的お気に入り度数

「マスラヲ」のラストで軽く触れられていた、鈴蘭達の勧めで宮内庁に入ったヒデオがあの睡蓮の部下になって!?というお話。別シリーズを取っていますが実質的に完全な「戦闘状態マスラヲ」の続きのお話。「お・り・が・み」とマスラヲ以上にリンク性が高いので、マスラヲの続きだと未読者にも判るような記述があってもよかったのでは…

聖魔杯→宮内庁へと舞台も変わり、様々な陰謀やら何やらは見え隠れするものの、「マスラヲ」未登場だった「お・り・が・み」キャラ達とヒデオが築いていく人間関係にワクワクする。「マスラヲ」ラストであんなことがあって、ちょっぴり不思議な能力が身に付いたりもしましたが、基本口先三寸で状況を切りぬけていく姿は基本変わらず。ウィル子やらノアレに振り回されて涙目なのも変わらず。目つきの悪さと時折繰り広げられるヒデオ時空(違)も変わらず。ていうか飲酒状態のヒデオの語りにはうっかり信じそうになったから!!!なんという説得力……

一方で、睡蓮とのなんだか初々しい関係に物凄いニヤニヤしちゃう。メインの2人に限らず、これまで殆どまともな進展を見せなかった周囲の人達にも春の訪れが感じられて、そちらの方向でも期待が高まります。

ていうかラストの鈴蘭は反則だろーーー!?
妹のほのあまいラブコメ具合を爽やかにぶっ飛ばすような破壊力の高いラブコメ具合に悶絶。さすが元・聖魔王の貫録……うわあああ鈴蘭可愛いよ鈴蘭!!!マスラヲの時はある種敵役っぽいポジションで、そちらの嫌らしさが鼻に付く部分もあったんだけど、ちょっとご無体な普通の(?)女の子に戻ったレイセンの鈴蘭、本つに可愛い。

それにしても、あとがきの暴露具合が凄かったです。マスラヲアニメ化の話とかあったのか……確かにあれは、1クールで魔殺商会抜きでやられたら涙目だよね…。
個人的に、このシリーズがアニメ化するならNHK教育にある角川長編アニメ枠ゲットして「お・り・が・み」から「マスラヲ」「レイセン」までじっくり全部やるくらいの勢いが欲しいです。もしくは分割劇場版。


戦闘城塞マスラヲ Vol.5 川村ヒデオの帰還

[著]林 トモアキ [絵]上田 夢人

聖魔杯を敗退した川村ヒデオは失意のままアルハザンの罠に嵌り、かつて対戦した強敵達と共に地下空洞に監禁されてしまう。パートナーを人質に取り、強制労働を強いるアルハザンの目的は異界への穴を開き、暗黒神を召還することだった。生きる気力を見失いかけるヒデオだが、仲間からの叱咤とウィル子の声を聞いて…
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シリーズ完結編。…いやほんと、この前読んだ「ムシウタbug」といいこれといい、スニーカー新年からトバしすぎじゃないですかっ!?4巻感想冒頭でもおなじ事書いたけど最後まで熱すぎるっ!

聖魔杯の準決勝・決勝戦が行われる裏で、地下に閉じ込められたヒデオ達と魔殺商会一派vsアルハザンの対決が描かれます。聖魔杯決勝戦では前巻圧倒的な力を見せ付けた前主人公・鈴蘭・みーこ組と、前シリーズから未だ直接ぶつかった事のなかった翔希・エリーゼ組のバトルが展開。圧倒的な力を持つアウター達と手を取り合うことで力をあわせて戦う鈴蘭と、すべての戦いを自分ひとりで抱え込もうとする翔希の戦いは猛烈に熱かった。どっちも間違った事いってない気がするのがまた…。特に、ただのワガママ娘かとおもっていたエリーゼの言葉には胸が熱くなりました。

しかし、そんな前シリーズ主人公達が繰り広げる頂上決戦すらこのクライマックスにおいては「前座」でしかないというのだからもう、最終決戦の熱さは推して知るべし。口先の言葉と立ち回りのみでこれまで数々の強敵を翻弄してきたヒデオと、ヒデオの為に更なる高みへ上っていこうとするウィル子が絶望のふちから立ち直り、パートナーを信じてかつての強敵達と共に戦っていく姿がとにかく熱すぎる。その快進撃に喝采し、ひとりまたひとりと戦場に残りながら戦い続ける姿に胸を熱くし、魔殺商会の面々がすばらしいタイミングで入れる援護射撃にニヤニヤしまくり。そして最後の最後の局面でヒデオが打った、一世一代の大ハッタリに圧倒されました。かっこいい、かっこよすぎるよヒデオ…!!

「お・り・が・み」で繰り広げられたパワー全開・卑怯全開な力押しバトルの爽快さに加え、「マスラヲ」でヒデオが繰り広げてきた口先で相手を翻弄する、手に汗握る知略戦のスリルが加わってきて、本当に最高のラストバトルだったと思います。ああもう、ここまで読んできて本当に良かった!最高に楽しかった!

しかし、しっかりエピローグで出オチを用意しているのがまた、素晴らし過ぎる。やっとニート脱却して就いた職場で、上司と同僚の尻に敷かれまくるヒデオの姿が素敵すぎます。そしていい具合に気を抜いたところで、最後の一文でまたグっと胸が熱くなる。あの一行は卑怯だよ…!!!

この巻でヒデオの物語は終幕、残念ですが新シリーズを楽しみに……と言おうと思ったら、次はヒデオと名護屋河睡蓮が繰り広げる対魔物が出る……だと!?外伝なのか、新シリーズ化なのか超気になる。超楽しみ。

ああ、しかしやっぱりこの最高のカタルシスは「お・り・が・み」シリーズを全部読んでからじゃないと味わえないよねえ。ギリギリ「前シリーズがなくても読める」の範疇には収まってますが、やっぱり伊織魔殺商会大暴れシーンは「お・り・が・み」シリーズの補強がないとキツイ気がする。

というわけで、未読の人は今からでもいい、読むんだっ!!

4044266042お・り・が・み林 トモアキ
角川書店 2004-06-29

by G-Tools


戦闘城塞マスラヲ Vol.4 戦場にかかる橋

[著]林 トモアキ [絵]上田 夢人

聖魔グランプリを勝ち抜き、優勝候補としての座を磐石のものとしたヒデオ・ウィル子ペア。優勝を意識し始めたヒデオは魔殺商会を率いる少女・鈴蘭を最大の障害と考えていた。そんな中、魔殺商会と魔人組織<アルハザン>が主催するサバイバルバトル<クロスフラッグス>の存在を知った二人はアルハザンに味方し、大会中に彼女を倒す事を決意する。「未来視」とさえ噂される優勝候補・ヒデオの動きによって、クロスフラッグスは思わぬ展開を見せるが…
   個人的お気に入り度数
うわあああ、敵も味方も熱いっ!
3巻ではちょっとテンションダウンかなと思う部分もありましたが、今回は物凄く面白かったです!

魔殺商会vsヒデオ・ウィル子達が参加するアルハザンという形で、遂に前シリーズ主人公である鈴蘭とヒデオの直接対決が実現!……というわけで、ヒデオ達の戦いも勿論熱いのですが、今回はとにかく鈴蘭達が圧倒的過ぎる!因縁の敵同士であったエリーゼ商会とアルハザンを味方につけ、大きく成長したウィル子の能力で規格外だらけの魔殺商会の面々を翻弄したところまでは良かったのですが、本気を出した鈴蘭達がここまで強いとは。

一見バラバラのように見えながら、自らに絶対的な自信を持ち、同時にそれに相応しい実力を持って立ちふさがる魔殺商会の小細工なんか必要としない圧倒的な強さ。そして自らの前に立ちふさがる圧倒的な宿命を全力でぶち壊そうとする鈴蘭の思いがかっこよすぎ。久しぶりに全開な鈴蘭節に、「お・り・が・み」ファンとしてはニヤニヤが止まらない展開でした。一方、我が強いアウター達に振り回されてワタワタする、かつての鈴蘭の燐片も覗かせて、とにかく今回は前シリーズが好きだった人にはたまらない1冊という感じでした。正直、本来の主人公であるヒデオを鈴蘭が食ってしまっている印象は3巻から引き続いて否めませんでしたが…。

そんな彼女の強さにあらゆる面で圧倒され、自らが感じていた成長は全て仮初のものであると自覚してしまったヒデオ。打ちのめされた彼に容赦なく、更に過酷な現実が襲い掛かります。今までとは段違いに絶望的な状況に陥ってしまった中でも、せめて自分が巻き込んでしまった女性だけでも死なせるわけにはいかないと絶望の淵から立ち上がる姿に胸が熱くなりました。そしてその増援は流石においしすぎますよっ!!

物語は次巻で完結。半ばフライング気味に二人のその後が軽く示唆された中、多少精神的な成長はあったとはいえどもまだまだニートで臆病な自分を脱却しきれていないヒデオがどうやってその示唆された未来にたどり着くのか。最終巻がとても楽しみです。


ばいおれんす☆まじかる! 核の花咲く日曜日

[著]林 トモアキ [絵]愛媛 みかん

ユキに騙されて誘拐され、ドクターBの本拠地に連れて来られた緋奈。例によってなぜかついてきちゃった由香利とともに見張りのロボットをだまくらかして戻ってきて、彼らの本拠地を暴こうと画策した緋奈達は足の確保の為、なぜか脱衣麻雀で車を手に入れようとするのだが…!?
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……えっとちょっと、これで終わり?
なんていうか、色々と伏線張りっぱなしというかいろんなところが投げっぱなしというか……これってひょっとして打ち切り……だったんですかねえ。なんかやってる事も1巻2巻と比べると半端な感じがぬぐえなくて、うーん。

後作「お・り・が・み」との接点を感じさせるキャラや設定が出てきたり、ドクターB配下の美女・通称ホワイトが怪しい動きを見せたり……と、全体的に次の巻への伏線を張ったまま終了してしまったカンジで、「最終巻」であるという事実を踏まえると、ちょっと酷い出来かも。エピソード自体も無理やりに最終巻らしく、無理やり大きなことをしようとして中途半端になってしまっている印象が否めませんでした。

こればっかりは作者と言うより編集者側の都合なんだろうという予感がするので、残念としか言いようが無いのですが…脱衣麻雀のエピソードとか一般人パワーでBを圧倒する原子力発電所の職員さんとか、小ネタが効いてただけにメインのストーリーが半端になってしまっているのが残念でした。うーん、ミスマルカかマスラヲがひと段落した後でも、こっちの続き出ないものですかね?…色々腑に落ちないというか、なんというか。

ところで、もろに「お・り・が・み」で起きた一連の事件のことじゃないかと匂わせる発言があったけど、緋奈達ってあっちにも出てましたっけ?マリアクレセルさんがちょろっと出てきたのはなんとなく覚えてるんですが…


ばいおれんす☆まじかる! 恋の呪文は修羅の道

[著]林 トモアキ [絵]愛媛 みかん

なんとか魔族達の野望を食い止めたが、彼らが力を与えたマッドサイエンティスト・ミスターBの地球征服の野望は費えてはいなかった。彼らの野望阻止の為に毎晩“魔法少女”として駆り出され、睡眠不足と疲労の色を隠せない緋奈。そんな彼女はある日、不思議な少年と出会い、心を通わせるが…
   個人的お気に入り度数
ヤクザの跡取り娘&引きこもりの落ちこぼれ天使が織り成す、ハチャメチャ魔法少女モノ第二段。今回は緋奈の淡い恋のお話です。

1巻では緋奈が周囲を振り回すというイメージが強かったのですが、2巻ではどちらかというと個性が強くなってきた周囲に緋奈が振り回される展開に…。いつのまにかすっかりゲーオタ化しているミウロスとか、か弱いヒロインを演じたいが為にわざと敵にさらわれたり、次第に黒い部分を覗かせる親友の由香利の個性が半端ない事になってきてます。しかし清次はこんなキャラでしたっけ…?1巻では文芸部メンバーに振り回される常識人で落ち着いた先輩という感じだったのが、2巻からいきなりエロキャラとして位置づけされていたのに物凄い戸惑ったのですが……。

魔族から力を得たマッドサイエンティスト・ミスターBが本格的なボスキャラとして君臨して、敵側のキャラ付けも濃ゆくなってきた様子。仮面の騎士5人組のマヌケな漫才がとてもツボ。なんというか、特にミスターBなんか典型的な悪役なんだけどそこまで悪い人じゃないよ感がたまりません。

今回のメインになる転校生・ユキと緋奈の対決自体はベタ王道で熱くてよかったのですが、1巻のラストがツボで圭一の恋路を応援したい私としてはこのオチだと今後の展開どうなるの!?とツッコミざるをえません。今回特に、いい人っぷりがアピールされてしまっているのが無駄に哀れだ圭一…。シリーズは次巻完結ですが、緋奈の恋路にどのような決着がつくのかが一番気になります。


ばいおれんす☆まじかる! 九重第二の魔法少女

[著]林 トモアキ [絵]愛媛 みかん

落第天使のミウルスは、ある日人間界に行って人間に力を貸して魔族の地球侵攻を食い止めよという指令を受ける。失敗すれば地球滅亡…という重い任務の中、出来るだけ身長に力を貸す人間を選ぼうとしていたのに、その場の成り行きから粗雑で凶暴なヤクザの跡取り娘・緋奈に力を与えてしまって…!?
   個人的お気に入り度数
「お・り・が・み」「戦闘城塞マスラヲ」の林トモアキさんのデビュー作。

ヒロインの緋奈が落第天使・ミウロスの力を借りて魔法少女に変身し、地球征服を狙う魔族達と戦いを繰り広げる、魔法少女モノ。……と書くと普通っぽく見えるのですが、肝心の緋奈は鞄の中に鉄板を仕込み、喧嘩となればそれを振り回すという程の超乱暴者。勿論魔族達との戦いでも魔法のステッキで敵をぶん殴る、魔族に操られた普通の人間をボコ殴りにする、挙句とある人物が操られて目の前に現れたら日ごろの恨みとばかりに病院行きになるまでボコボコに殴る……などなど、とにかくその破天荒っぷりを遺憾なく発揮してくださいます。そんなこんなで落第天使で引きこもり(失礼)だけど割りと常識人な相棒・ミウロスは常時涙目。

そんな濃ゆいキャラが織り成す魔法少女モノですが、ハチャメチャ極まりないキャラクター達の行動に笑わせられながらも、後半は王道的な熱い展開もしっかりあって、美味しくいただかせて貰いました。特に恋する熱血不良少年・圭一の、向こう見ずな行動には胸が熱くなりました。

一方、敵側の魔族についてはちょっと強引に出たカンジの人が多いというか、人数出した分相対的に味が薄くなってしまったような印象があったのが残念です。ラスボス影薄いし、メリーサがどうしてパパロンに執着するのかもイマイチ伝わってこなかったし。特にエルシフとかは、無理にキャラ立てしなくても良かったんじゃないのかなあ……別にエルシフに可愛がられてる清次の挿絵がなかったことが残念なわけではないですよ?

デビュー作ということで、色々ツッコミ所は感じましたがそれを補って余りあるほどのノリと勢いが非常に面白かったです。「お・り・が・み」シリーズが好きな人は読んで損はしないかと。


戦闘城塞マスラヲ Vol.3 奇跡の対価

[著]林 トモアキ [絵]上田 夢人

死なない程度ならどんな妨害でもあり…のカーレース「聖魔グランプリ」が始まった。様々な妨害工作により、大多数のペアが脱落していく中、徐々に戦いはヒデオ&ウィル子、リリー&伊織、翔希&エリーゼ、リョータ×エルシアの4組の戦いに絞られていくのだが、ヒデオの体調に異変が起きて…!?
   個人的お気に入り度数
聖魔グランプリを描いた「奇跡の代価」でのヒデオの活躍が半端じゃなくかっこよかったです。引きこもりが故のネガティブ思考が上手いこと働いてしまって結果オーライ的な部分もあったけど、めちゃくちゃ熱いバトルを楽しめたのでこちらとしても結果オーライ。ウィル子の力を使うことに対する「代価」を、理由はどうあれあっさり軽いと言ってのける姿も無駄にかっこいい。ラストのオチが、ウィル子の事をさりげなく気遣ってるヒデオのさりげない優しさを象徴するようでとても好き。この話は、ほんとお気に入りです。

そして熱い展開が満載の聖魔グランプリ編「奇跡の代価」から、どうみても某アイド●マスターネタな「私を地中海に@連れてって」、■MRネタな「既知との遭遇」の2編のギャップが激しすぎる。しかし、久しぶりに引きこもり全開のヒデオの姿は見ていて落ち着くと言うか…思わずニヤニヤしてしまいました。あと、2巻?聖魔グランプリにかけて、前作シリーズキャラが出張りすぎな印象を持っていたので、ここで一旦魔殺商会の面々と手を切ってくれたのは嬉しかったかも。

ただ、巻を重ねるにつれて「お・り・が・み」を読んでいないとつらいネタが少しずつ増えてきてるような気がするのが、「マスラヲ」からこの人の作品に手を出した人間の立場としては凄く気になる。物語が進むに連れて、マスラヲのキャラクターはほぼ人数固定のままなのに対して、前作キャラがどんどん揃い踏みしてきてるからかなあ。引きこもりと言う設定から、なかなか自分では動き出さないヒデオに対して、リリー(鈴蘭)が今にも主人公オーラ出しはじめそうで、なんだかあぶなっかしく思えてしまうのです。

特にリュータが主役を貼る「ANOTHER ROUND」でのリリーのかっこよさは異常で、そんなかっこいい鈴蘭の姿を拝めたのが嬉しいというのもあるのですが、一方で『前作主人公』なんだからあまり出張らないで欲しいなあと思うところもあり、なんだか複雑な心境でした。確かに、彼女が出張ったのは物語で言えば中盤までで、ちゃんとラストはリュータとエルシアが締めてくれるんだけど。

というかですね、最近の彼女の立ち居地がすごく、続編時のどっかのスーパーコーディ様に見えるのよ……ね……


お・り・が・み 澱の神

[著]林 トモアキ [絵]2C=がろあ?

伊織貴瀬を礎として、新たな世界の枠組み“ユグドラシル・システム”を築こうとする天の勢力に対し、魔王にして聖女となった鈴蘭は徹底抗戦を決意する。ゼピルムの魔人に加えて神殿協会の枢機卿達の殆どをも味方に付け、絶対防壁となった大神殿に乗り込むのだが、そこには澱深くに眠り絶大な力を持つ“カミ”達が立ちふさがる—!
   個人的お気に入り度数
最後までシリーズの持ち味を残したまま、綺麗に終わってくれました。前回の「光の徒」なんかはギャグ分抑え目だったのがちょっと残念だったけど、この「澱の神」はあくまでシリアスメインにしつつ、ギャグも忘れていないこの絶妙なバランスが最高でした。

とりあえず……一生ついていきます、律子枢機卿!!
典型的な剣と魔法の世界の話で、魔王も聖女も天も魔も出てくる話でありながら、律子枢機卿の説得のシーンとかその辺の現実的な感覚がまた素敵。予想以上に現実的な聖騎士の皆様も素敵すぎ。いや、実際正義のために結束するよりもああいう理由の方が常識的な人間としては説得力があるに決まってるよね(笑)そしてダシに使われた挙句「案外少ないな?」とか言われちゃうショーペンハウアー様に、今回一番の不幸大賞の座を謙譲したい。

作品に登場した多くのキャラクターがそれぞれの想いを貫くために戦い、様々な形でぶつかり合う最終回。意外な者が敵になったり、また味方になったり…と、目まぐるしい展開の目白押しでしたがどの戦いもとにかく熱くて凄く良かったです。個人的には翔希・睡蓮とほむら鬼の戦いが好きでした。翔希は勇者の筈なのに最後までイマイチいいところなかったですけど。

エピローグも実にこの物語のオチにふさわしい感じで、最後まで素敵でした。やっぱり、どんなに綺麗ごとを言ってもこの物語に死者は似合わないとおもう。今までのボスキャラ達がまるで某勇者アニメで浄解された元ゾンダーが如く偉くいい人になって再登場するのは微妙にご都合主義を感じてしまいましたが、この物語だからこそアリな結末だと感じてしまいました。ていうかあまりにも素晴らしく円満終了なラストに、不覚にも涙が流れそうになってしまいました。

何はともあれ、こうして物語は「戦闘城塞マスラヲ」に続くわけですね。一応「お・り・が・み」を読まなくても楽しめるシリーズとして作られているようですが、こうして「お・り・が・み」を読み終えると、マスラヲをパーフェクトに楽しむにはこのシリーズの存在が不可欠だということを実感します。2冊だけだし、今すぐ読み返してみようかなとおもうほど、マスラヲの続きが思いも新たに楽しみになってまいりました。

「マスラヲ」が好きで「お・り・が・み」に手を出していない人は3巻が発売される前に読破しておくと「マスラヲ」が100倍楽しめますよ!!(微妙に誇張表現)